私たち人間が体調を崩すように、ほかの動物たちも病気にかかります。
絶滅の危機にある動物を救うためには、それぞれの種ごとに病気への対策が欠かせません。
パンダの病気には、どのような種類があるのでしょうか。
漢方薬で風邪が治ったカンカン
パンダは人間やほかの動物と同じく、様々なきっかけで体調を崩す場合があります。
1972年、日中国交正常化を記念して上野にやってきたカンカンは、来園して間もなく風邪をひいてしまいました。
当時はパンダの情報が不足していて、スタッフたちは途方に暮れました。
悩んだ末に漢方薬を与えたところ、カンカンの風邪は治ったそうです。
パンダは風邪のほかに様々な病気があり、それが原因で時には命を落としてしまいます。
パンダも風邪をひくのか~。
風邪をひいて鼻水を出す和花(ホーファ)
2023年9月、中国の成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地に住む和花が風邪をひいてしまいました。
和花が完全に回復するまでの間、展示は中止が決定しています。
パンダにとっても、寒暖が定まらない夏と秋の変わり目の時期は、風邪をひきやすいタイミングです。
パンダの病気
パンダがかかる病気には、様々な種類があるよ。
パンダを苦しめる可能性のある、主な病気を紹介します。
順番に見てみましょう。
内科の病気
内科の病気には人間と同じく、風邪、肺炎、胃腸炎、心不全、腎不全などがあります。
かつてアドベンチャーワールドにいた梅梅の死因は腸閉塞です。
これまで動物園のパンダが腸閉塞になると、保存的療法しかおこなわれてきませんでした。
しかし、2020年に成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地の毛桃(マオタオ)が腸閉塞の手術によって回復し、成功例を作っています。
また、寒冷な気候を好むパンダは、熱中症にも気をつけなければなりません。
動物園などで飼育下のパンダは、暑い季節はエアコンの効いた室内で過ごします。
感染症
個体数の少ないパンダにとって、感染症は種の存続にかかわる脅威です。
2014年に中国で流行した犬ジステンパーは、感染した動物に高熱や嘔吐を引き起こし、最悪の場合死に至ります。
陝西省にある希少野生動物救急飼育研究センターでは、この年5頭のパンダが犬ジステンパーによって相次いで死亡しました。
パンダを絶滅から守るためには、ワクチンの接種など有効な対策が必要です。
(出典:Scientific Reports)
寄生虫病
これまでジャイアントパンダの体からは多くの寄生虫が発見されてきました。
寄生虫病に感染するのは主に野生下の個体で、飼育下の個体ではほとんど見られません。
野生下での寄生虫病感染率は100%といわれています。
パンダから発見された寄生虫の中には、パンダ回虫、パンダ鉤虫といった、パンダの名を冠した種類が存在します。
人間がパンダに触って感染
狂犬病やエボラ出血熱のように、ほかの動物から人間へと感染する病気を動物由来感染症といいます。
動物由来感染症には、動物に噛まれたり引っかかれたりして感染する直接感染のほかに、ダニや蚊などの媒介によって感染するベクター感染があります。
イギリス人のソフィー・ワードさんは、ダニによって媒介されるライム病という細菌感染症に苦しんでいました。
ソフィーさんは中国に行った際、パンダに直接手を触れる機会がありました。
その時パンダに付着していたダニによって、細菌が体内に侵入したと考えられています。
ダニの媒介によって感染するんだね。
(出典:The Sun)
まとめ
・風邪をはじめ多くの病気にかかる
・感染症は種の存続にかかわる問題
・野生下での寄生虫病感染率は100%
・人間がパンダに触って感染するケースがある
パンダも様々な病気にかかるよ。