古くから中国に生息しているパンダですが、いくつかの文献には事実と異なる不思議な記述が残っています。
「パンダは銅や鉄を食べる」という誤解は、どのように生まれたのでしょうか。
パンダと歴史について、様々な角度から考えてみましょう。
中国の伝承「銅や鉄を食べる貘」
パンダは約800万年前から中国に生息していたといわれています。
中国の古い文献には、パンダと思われる動物について、数々の記述が残っています。
その1つが、中国最古の字書『爾雅(じが)』。
『爾雅』には、パンダと思われる「貘(ばく)」という動物が紹介されています。
その中で郭璞(かくはく)という学者が「貘は銅、鉄、竹を食べる動物」と注釈を入れています。
銅や鉄を食べるって書いてあったの?
「パンダが銅や鉄を食べる」と記述されているのは、『爾雅』だけではありません。
中国の古い文献にはたびたびパンダと思われる動物が登場し、「銅や鉄などの金属を食べる」という特徴が語られています。
しかし、現実のパンダが金属を食べるという事実はありません。
なぜこのような誤解が生まれたのでしょうか?
矢の原料が竹だったことによる誤解
パンダが金属を好むという誤解が広まった理由には諸説ありますが、一説にはかつて矢の原料に竹が用いられていたことが関係しているといわれています。
パンダの「竹を食べる」という特徴が、「矢を好む」というイメージを生み、時代が進み金属製の矢が現れたことで「金属を好む」という誤解に繋がったのでしょう。
(出典:東京大学学術機関リポジトリ『中国古文献中のパンダ』)
調理鍋を舐めていたことによる誤解
そのほかに中国では「村に現れたパンダが調理鍋を舐めたり噛んだりしていた」という出来事があったようです。
パンダは調理鍋を食べていたわけではありませんが、金属製の調理鍋に興味を示していたことで、銅や鉄を食べるイメージに結びついた可能性があります。
パンダが銅や鉄を食べるという誤解は、未知の生物に対していくつかの要因によって形成されたイメージだと考えられます。
まとめ
・文献に「銅や鉄を食べる」と記述されている
・パンダが金属を食べる事実はない
・矢の原料が竹だったことによる誤解
・調理鍋を舐めていたことによる誤解
パンダが銅や鉄を食べる事実はないよ。