パンダは何歳から高齢なのか、ご存知でしょうか。
一般的に「パンダの年齢を3倍すると人間の年齢に換算できる」といわれますが、高齢の定義は専門家によって異なります。
今回は、おおむね何歳から高齢だと考えられているのか紹介したうえで、さらに高齢パンダの飼育方法に至るまで、詳しく解説します。
パンダは何歳から高齢?
ジャイアントパンダが何歳から高齢と定義するのかは、飼育施設や専門家によって異なりますが、おおむね15~20歳以上とされています。
パンダの寿命は、野生下では15~20年ほどと考えられていますが、飼育下では30年以上生きるケースもあります。
現在も飼育技術は進歩し続けているため、今後パンダの健康年齢の強化や最高寿命の更新が起こり、高齢の定義も引き上げられるでしょう。
パンダは15~20歳で高齢なのか~。
繁殖に成功した最高齢のパンダ、永明
高齢のパンダと聞いて、長年和歌山県のアドベンチャーワールドにいた永明を思い出した方も多いのではないでしょうか。
2023年2月までアドベンチャーワールドにいた永明は「飼育下での自然交配で繁殖に成功した、世界最高齢のパンダ」です。
野生下と比べて寿命が長い飼育下では、20歳を超える高齢パンダの繁殖事例は一定数あるものの、永明の生命力は群を抜いています。
2020年に最後の子供である楓浜が生まれた時点で、永明は28歳でした。
永明の繁殖能力は、世界的に見てもかなり高く、注目を集めています。
永明の繁殖能力は世界的に注目されているよ。
高齢パンダの飼育環境
高齢パンダに負荷がかからないよう飼育するには、気温が穏やかだったり、周囲が静かだったりと、適切な環境が必要です。
中国ジャイアントパンダ保護研究センターでは、ほとんどの高齢パンダが成都市郊外に位置する都江堰基地で飼育されています。
都江堰は野生のパンダが生息する環境に近く、体が弱まった高齢パンダをサポートする体制が整っています。
高齢パンダの飼育方法
健康状態が成年期に劣る高齢パンダには、適切な飼育方法が求められます。
実際に多くの高齢パンダを飼育している、都江堰基地の環境を例に見てみましょう。
なお、資料として『生物の科学 遺伝 Vol.74 No.1』に掲載されている、黄山さんの論文を参照しました。
書籍については以下の記事で紹介しているので、あわせてご覧ください。
食事
パンダは高齢になると、歯が摩耗し、正常な食事が困難になるケースがあります。
その場合、タケの葉を細かく切って与えたり、人工飼料を活用したりと、工夫が必要です。
ただし、高齢であっても、消化機能や葉の状態に問題がなければ、成年期と同様にタケ中心の食事が与えられます。
もともと人工飼料を中心に与えられていた高齢パンダが、タケ中心の食事に切り替えることで健康面の改善につながった事例もあります。
運動
高齢パンダは成年期と比べて体力が衰えているため、遊ぶことに対して関心を示さなくなります。
しかし、運動量が減ると血液循環や生殖機能、食欲などの低下を招きます。
飼育下のパンダには、たとえ高齢であったとしても、運動量を増やす工夫が不可欠です。
温度管理
暑さや寒さに対する適応能力もまた、年齢の経過とともに低下します。
気温の変化が激しい環境では、高齢パンダが影響されないよう、空調設備を整えて温度を18~25℃に保たなければなりません。
ちなみに日本においては、パンダが苦手とする暑さの強い夏の期間、冷房の効いた屋内で過ごすのが一般的です。
ハズバンダリートレーニング
高齢パンダの健康状態を管理するには、ハズバンダリートレーニングが役立ちます。
ハズバンダリートレーニングとは、動物に協力してもらいながら医療行為を進めるトレーニングです。
ハズバンダリートレーニングによって可能となる受診動作は、血液採取や血圧測定など、多岐にわたり、動物の負担を軽減する効果があります。
パンダの負担が軽減されるんだね。
まとめ
・15~20歳以上は高齢
・都江堰基地にはサポート体制が整っている
・食事、運動、温度管理に配慮が必要
・健康管理にハズバンダリートレーニングが役立つ
高齢パンダには適切な環境が求められるよ。